子どもたちに<生きる力>と<希望>を! 
<高校生に自由はあるのか?> 投稿より  05
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「恐ろしい17歳」
midori (011030)

 ip2000のMLで、投稿を拝見しました。
 Midori/ローマの名で、時折発言してます。

 47歳、ローマ在、8歳の子供がいます。

 以前に、高校生向けのメルマガにコラムを書いた事があり、いろいろな事情で休刊になって掲載されなかったコラムを送らせてください。

------------「恐ろしい17歳」(最新稿/休刊のため未掲載)--------

 最近、日本で17歳の犯罪が相次ぎ、話題になっている、と聞いた。
 話題になるのは、『17歳という弱輩』が大人顔負けの犯罪を起こすからだろうと思う。
 そこに、大人と弱輩者との能力的な差を漠然と社会が認めている事を暴露する。実は、10代、それも10代の半ば以上というのは、体力、推理力、知能で大人と変わる所がない。社会的に責任能力がないこと、自己を支える精神的な強さに欠けることで大人と差がつくかな?もっともこれが欠ける大人はいくらもいるけど。


 イタリアにも10代の犯罪はある。強盗などの用意周到の凶悪犯罪はおいといて、何年か前に相次いで起こった事件がある。まだ記憶に新しいその事件は、高速道路上の陸橋から走る車めがけて石を落とすという「遊び」が伝染して行った事。

 誰が始めたのか知らないけれど、ニュースで北イタリアの高速道路で石を投げ付けられる被害が続出と報道した。フロントガラスにヒビが入りボンネットがへこんだ。いたずら、という事で警察は年令を絞り込み、何ヶ月かかかって近所の小さな村の少年グループを割り出し輔導した。遊びの少ない村でヒマを持て余し、車に石当てゲームをしていたのだった。
 事件はそれでおしまいではなかった。ニュースでこの事件を見た他地域の少年達が、好奇心をそそられて、まねを始めたのだ。この「遊び」は南下して行った。

 ついに、ある少年--イタリアでは18歳で成人だからその子は「少年A」ではなかったけど--が、直径20センチくらいの石を落とし、見事命中して「遊び」に勝った。この「勝ち」は一人の命とひきかえだった。石は、フロントガラスを突き破って、助手席に乗っていた女性の頭に命中したのだ。
 死者がでたことで警察の捜査はより迅速で、まもなく「少年」は逮捕された。成人なので名前も公表され、裁判を受けて有罪の判決。今も牢獄にいる。

 何ヶ月かたった後、テレビのインタヴューで、凛とした賢そうな顔つきで、「バカな事をしたと深く反省している。罪の償いをしたい。他のやつらもこんなバカな遊びをまねしないでほしい」と言っていた。

 と、ここまで書いて私は慄然とした。このバカな遊びは他人ごとではなかった。「バカなやつ」と蔑んでいられなかった。いきなり記憶が戻って来た。謝罪を込めて、懺悔の意味でも皆さんに読んでいただこうと思う。
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 中学生のとき、友人Aと放課後同じ敷地内の大学校舎へ通った時期があった。

 付属校生徒が大学構内へ入る事は校則で禁止されている。建物の中に制服で入るのはさすがにためらわれるので、非常階段を使って4階建ての屋上へ出る。屋上と言っても、人がいられるような作りになっていないので柵もない。そこでは、非常階段を使って誰かが来る恐れ(私達のように)があるので、隣の建物へ移る。
 50センチくらいの隙間を飛び越えるわけ。4階建ての建物と建物の間を…

 その誰もいない場所は私達の秘密の場所。テープレコーダーを使って、劇団ごっこ
をしていた。誰にも見られなければ、恥ずかしくない。

 何回もしているうちに飽きてくる。寝転がって大声で歌を歌ってみる。建物のふちに座って下を見る(危ないなぁ)。人や車が小さく見える。
 どちらが始めたのか覚えていないし、わかったところで意味はない。
 屋上の床のコールタールのような建材がはがれて石のようになっているのを拾って落としてみる。
ヒューーーーー -------  タン
 自分がいる高さが実感できる。
ヒューーーーー -------  タン
 そのうち何かを狙い始める。
 人が来たら落として顔を引っ込める…と言う事を始める。

 14歳。ある程度の分別がありそうなもの。石が当たれば怪我をするくらいの理屈はわかるはず。
 自分はそんなへまはしない、という裏付けのない自信があった。この年代で「病気」や「死」や「怪我」や「老」や、その他のネガティブなものに対する恐れはない。あったら「若さ」ではない。だから、誰かに怪我をさせるかも知れないと言う事は考えなかった。

 石を落とす。通り掛かった人が驚いてよける。不審そうに見上げる。
私がしたとは誰にもわからない。人を右往左往させるのは楽しい。しかもこちらは高みの見物。何の被害もない。悪い事をしていると言う意識はない、遊びだから。

 そのうち下の道路に人が集まって上を見上げてなんやら話している。
 「あの屋上から…」「投げると引っ込むのよ…」という声がとぎれとぎれに聞こえる。その日はお開きにした。


 翌日また「遊び場」へ行く。その日も石を投げたかどうか覚えていない。覚えているのは、担任ではない地理の先生が呼びに来た事だ。非常階段で登れる屋上の端に立ち、いつもはヒョウヒョウとしてコミカルな感じのする先生が真剣な顔で「叱る」のではなく、あぶないからおりなさい、と言った事だ。

 私達は大人しい生徒だったから、言われた通り帰ろうとした。そしていつものように隙間を飛び越えようと身構えた時、先生は本当に心配そうに「そんな事をしたら危ない!」と制したのだ。私達は他に道がない事を説明し、先生が心配そうに見守る中、飛び越えて帰還。

 その時初めて本当に危ない事をしていた…と実感できたと思う。

 それ以来屋上へは行かなかった。見つかったからではなく、私達の中の何かが屋上へ行く事をとどめたのだ。

ここで二つの"IF"が出てくる。

 ・もし私かAの投げた石が誰かにあたって怪我をさせていたら…

 成績こそ優秀ではなかったけど私もAも大人しい生徒だった。授業中は普通の中学生なみにノートをとっていたし、試験時には焦って勉強した。大人しいけど、つるんでいたグループの中ではよくしゃべって笑っていた。要するに普通の中学生だった。

 「事件」のあと、ジャーナリストのインタヴューに答えて、級友や近所の人は「あんなに大人しい子があんなことするなんて信じられません」と言った事だろう。両親は心労のあまり仕事やその他一切がおろそかになり、弟も学校にいずらくなったろう。私も警察の取り調べを受け、もともと普通の子なのだから、背負いかねるほどの大きな事実に打ちのめされ、立ち直りにはかなりの時間と労力が必要だったろう。

 ・地理の先生が迎えに来た後、学校が問題にしていたら…

 あのあと、なぜ「大学の屋上から路上に石を投げていた中学生二人」を学校が問題にしなかったのか今から考えると不思議だ。

 私達には心配そうな先生の顔で現実を把握するのに充分だった。学校が問題にしたら、第1のケースで警察に事情徴収を受けるのと同じ影響を私に与え、立ち直りに時間がかかって、その後の人生を悪い方に変えていたかも知れない。

 「どうせ私は悪い子なんだ」
 私もAも他の級友に比べて子供っぽかったが、悪い方に成熟するのは速い。

 ひょっとしたら地理の先生が他の先生方を取りなしてくれたのかも知れない。あるいは、他の先生の耳に入る前に迎えに来て、他言しなかったとか…
-------
 「起こりうる不都合」を心配しない10代が何かしでかした時、大人がどう対処したらいいのか難しい所だ。
 叱責にしろ、話し合いにしろ、大人が、学校の、家庭の、会社の、自分の体面を気にしている限りそれは失敗に終わると思う。しでかした10代の身を本気で心配する気持ちが10代に何かを気付かせる事になる。
 
 もっとも、体面を気にする大人をいちがいには責められないけどね。
 大人は社会の中で体面で自分の位置をようやく保っているのだから。失うものをたくさんもっているわけだね。何十年もかけて得たものを失う事を恐れるからと言って責める事はできない。

 10代は10代で犯罪につながり得る「遊び」を避けるエネルギーの使い方をみつけなくてはね。
 10代には柔軟な発想と何かを成し遂げる能力と沸き上がるエネルギーに溢れている。資金がないだけでその気になれば、科学、芸術面でも大人に負けない仕事ができる。
 
 私は美大の付属高校に通っていた。3年になるとB全版のケント紙をパネル張りにして建物か静物の鉛筆精密デッサンの課題が出る。過去の優秀作品はスライドになって残っている。課題製作を始める前にこのスライドを見せられた。

 過去の17歳、18歳の優秀作品は見事としか言い様がなかった。数種の濃さの鉛筆を使い分けて、ビニールに包まれた食パン、ガラスのボアとそれを包む縄、学校校舎など、質感と存在感が写真かそれ以上に表わされていた。プラス、アナログの暖かさ。皆さんにお見せできないのが残念なほど見事。

 こういう作品を製作できる能力を10代は開発できる。大人とサシで勝負ができる。発想の柔軟さで大人は負ける…はず。

 私は何ごとも成さなかったけど、持て余すほどの沸き上がるエネルギーをよく覚えている。このエネルギーを仲間うちのバカな「遊び」に浪費するのはもったいないと心から思う。

 「何をするか」を見つけるのは難しいけど。とりあえず、好きなものを極めたら?
 
ちなみに私とAが見つけた次の遊びは「グループサウンズ*」のおっかけでした。大したことしてないねー。

*グループサウンズ。タイコ、リードギター、ベースギター、ボーカルの最低4人の長髪で和製ポップスを歌った。ジュリー、ショーケン、マチャアキ、井上順はグループサウンズの出身。

 「恐ろしい17歳」終わり;読んでくれてありがと!

 Midori様、仁です。
 とてもいいお話お聞かせいただいてありがとうございます。
 深いですね。
 けれど、14歳の子どもの気づきがあった、ことに驚きを感じています。
 <私達には心配そうな先生の顔で現実を把握するのに充分だった>
 気づいたMidoriさんたちのすごさと、「心配そうな先生の顔」の持つ波動のすごさと、考えさせられています。
 それは特権的な交心なのか、誰にでも起こりうることなのか・・・。
 起こりうることだとしたら、地理の先生というのはどんな人だったのだろう・・・。

 Midoriさん、この謎解きは、大きな問題提起です。
 この『恐ろしい17歳』使わせていただいてもよろしいですか。
 うちの生徒たちに読ませたいのですけれど。

 もしよければ、仁のメルマガでも紹介したいと思います。
 「教師って何?」をテーマに、教師の在り様を考えていきたいと考えています。どこまで掘り下げていけるかわかりませんが、まずは投げかけていきたいと思います。ご一考下さい。

 子どもたちの感受性と魂の躍動は、極端に言えば、大人をはるかに越えていると思います。けれど「教育」のなかで、その本来的な魂の躍動が奪い取られていっている現実があるのではないでしょうか・・・。「恐ろしい17歳」は、それを抑圧してきた「社会」と「人間」の反映なのだと考えています。「つながろうとする」ものと「たちきろうとする」ものの闘争のような気がします。けれど、根源的には、同じものなんでしょう。

 そんなことを考えています。

 続編書いていただけるともっと何かが見えてくると思いますが、いかがでしょうか・・・。

 よろしくお願いします。
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『教育を語るML』              aojin7@freeml.com 
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子供や、とくに若い人の犯罪や風潮はすべて社会の鏡だ
Midori (011101)

 Midoriです。
 さっそくのお返事ありがとうございます。

>  けれど、14歳の子どもの気づきがあった、ことに驚きを感じています。
>  <私達には心配そうな先生の顔で現実を把握するのに充分だった>
>  気づいたMidoriさんたちのすごさと、「心配そうな先生の顔」の持つ波動のすごさ
> と、考えさせられています。
>  それは特権的な交心なのか、誰にでも起こりうることなのか・・・。
>  起こりうることだとしたら、地理の先生というのはどんな人だったのだろう・・
> ・。

 これは誰にでも起こり得る事だと思います。
 心配そうな顔をしてしまった先生は、その時、どんな立ち場でもなく、ヒトとして、自分より弱い立ち場のものが、危険な目に遭いそう!と言う場面に接して自然に出たものでした。それはその先生の人間性かも知れません。

 14歳の子供でも、それ以下の子供でも、言葉に翻訳できなくても、相手のオトナがどれだけ真剣か、は、驚くほど読みとります。そして、どの子も、放っておいて欲しい反面、オトナの関心を集めたいものです。
 年令が低ければ低いほど、オトナは子供の自己を形成する一部になっているのだから、当然です。
>
>  Midoriさん、この謎解きは、大きな問題提起です。
>  この『恐ろしい17歳』使わせていただいてもよろしいですか。
>  うちの生徒たちに読ませたいのですけれど。

 どうぞ、どうぞ。
 私のHPにも掲載しましたが、訪問者が少ないので。

>  もしよければ、仁のメルマガでも紹介したいと思います。
>  「教師って何?」をテーマに、教師の在り様を考えていきたいと考えています。ど
> こまで掘り下げていけるかわかりませんが、まずは投げかけていきたいと思います。
> ご一考下さい。
>
>  子どもたちの感受性と魂の躍動は、極端に言えば、大人をはるかに越えていると思
> います。けれど「教育」のなかで、その本来的な魂の躍動が奪い取られていっている
> 現実があるのではないでしょうか・・・。「恐ろしい17歳」は、それを抑圧してき
> た「社会」と「人間」の反映なのだと考えています。「つながろうとする」ものと
> 「たちきろうとする」ものの闘争のような気がします。けれど、根源的には、同じも
> のなんでしょう。

 子供や、とくに若い人の犯罪や風潮はすべて社会の鏡だと思っています。
 体内にもつヘルペスが一番弱いところに膿をもって出てくるのと同じです。


>  続編書いていただけるともっと何かが見えてくると思いますが、いかがでしょうか・・・。

  書く事は好きで、教育や心理や性を含めた人とのかかわりに着いて考える事が好きです。詰まるところは「人間ってなに?どこから来てどこへ行くの?」って言う事ですが。

 「初体験」と言うタイトルで、「恐ろしい17歳」を書いたメルマガに書いてます。

http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Desert/5716/shindy1.htm

 で、読めますので、私の考え方を見ていただけると思います。

 書く事は好きですので、なにか考えてみます。ただ、今仕事が立て込んでますので、すぐにはできないとおもいますが。あとで、MLを覗いてみます。

 仁さんは学校の先生ですか?
仁 (011101)

 Midori様、仁です。お便り感謝です。
 仁は教員しています。テーマはMidoriさんとほとんど重なっている気がします。

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 取り急ぎお願いと宣伝させて貰いました。
『初体験』の案内
Midori (011101)

 仁さま。

 昨日、HPヘ遊びに行ってきました。
 仁さんが真摯に子供達と向き合っている事がわかるHPでした。

 URLは一つ足りませんでした。これでいけると思います。

http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Desert/5716/shindy/shindy1.htm

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