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| ＜いのち＞の授業 資料０７ |
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| 「いのちの授業」を巡って | ||
| 朝日新聞 （２００１・１１・２４） | ||
| ルール順守を 会社員 伊藤由美 （山口県防府市 ３６歳） | ||
１４日付け本紙で、飼った鶏を食べる授業が保護者反対で中止になったとの記事を読んで、大きな疑問を感じた。 記事によると、担任教師は鶏を飼い始めた当初から解体して食べることを子どもたちに説明し、さらに解体の２週間前には父母に対して意見を求めているにもかかわらず、直前になって一部の保護者から匿名の抗議が教育委員会にあり、ストップをかけられたとのことである。 意見を求められたときは声を上げず、実施直前になってどうして抗議を行うのか疑問に思うとともに、教育委員会の対応にも疑問を感じる。少なくとも当該授業を行うまでの経緯を調査し、手続き上問題がなければそのまま実施を認めるか、再度意見を聞く場を設けるべきだと私は思う。 今回の出来事を、担任教師は子どもたちにどう説明したのだろうか。「名前の分からない一部の保護者から抗議があったので中止します」では子どもたちも納得しないし、また将来のためにも決してよい経験ではないだろう。 ルールに従って物事を決めるのは民主主義の根幹であり、これをきちんと実践することが教育現場に求められているのではないか。 |
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| 家庭で教えよ パート 花山千代美 （熊本県宇土市 ４９歳） | ||
確かに「命の教育」は大事なことです。でもそれは、学校で教えるべきこと、家庭で教えるべきことなどと、いろいろな教え方があります。 そして、一人ひとりの子どもの成長の度合いによって、それを教える時期も違ってきます。飼った鶏を殺して食べるような「命の教育」は、それぞれの家庭でその子の成長に応じた教え方をすべきです。 一部からの保護者からの批判的な声が教育委員会に届いたことについて、担任は「事前に意見を求めたときに反対の声を出してほしかった」と言っています。けれど反対の意見が出なかったから殺して食べていい、というのはおかしいと思う。 この世の中のものにはすべて命があるのです。食べることは生きていくための必要悪の行為です。教育の現場で、学習の時間に、計画を立ててするようなことではありません。 |
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| 時間をかけて 高校教員 中西清貴 （京都府城陽市 ４３歳） | ||
秋田県の小学校で、育てた鶏を処分しカレーに入れて食べるという授業が、保護者からの反対で中止になったという報道がありました。人間の命は、数多くの生命の犠牲のうえに成り立つーー、担任の先生はこのことを子どもたちに実体験させたかったのでしょう。 確かに昔と違って、食と命の尊さを肌で感じ取ることは難しくなりました。学校がこのような体験の場を積極的に提供していくことの重要性は、今後ますます高まっていくと言っていいでしょう。しかし、担任の先生はなぜ、その題材を鶏に求められたのでしょう。 体験できる機会が少なくなったとはいえ、もっとほかの方法によって、身近に機会を持つことはできるはずです。例えば、獲物を食べるカマキリやクモを観察すること、野菜や稲を育てて食べることを通して生きるためには生命を奪うという生の営みは学べます。 児童の中には、飼育している鶏をペットとして感じていた子どももいたはずです。先生の試みは、少し意気込みが先行していたような気もします。 本来、子どもたちは成長過程の中で自然と身につけていくものですから、もう少し長い目で見ることも、やはり必要ですね。 |
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| 朝日新聞 ２００１・１１・２９ | ||
| 殺される側の痛みに思いを 僧職 池上寛道 （福岡県 ５４歳） | ||
飼った鶏を食べる授業が中止となったが、それは別として、「殺す」ことについて考えてみたい。 食用となる牛や豚、鶏などは殺されるために育てられ、成長すれば死が待っている。私たちは「この肉は硬い」とか文句を言いながら食べている。 かたやペットとして、ぜいたくに暮らす動物。そのどちらの動物のいのちにも変わりはない。人間が勝手に選別しているだけのことである。自分のうちの犬の鳴き声はよくて、他人のうちのは迷惑な騒音と聞く。 そこで、自分で飼い育てた鶏を殺して食べるのはかわいそう。しかし、自分の知らないところで殺されたものは平気で食う。すべての生き物にとっていのちはいとしい。生きたいのである。それを無理矢理に奪って食料としている。そういう生き物のいのちの犠牲の上に自分のいのちが生かされているのである。目の前で「殺す」ということは非常にショッキングかもしれないが、殺されるものの痛みが分かった時、「もったいない」ということが分かるであろう。 |
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