子どもたちに<生きる力>と<希望>を! 
<語り>から<宣言>へ 01


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01年筑後地区同和教育研究集会
    <語り>☆<生きる力>の発見
青柳仁
   
 生徒たちの<語り>は求める心の現れであり、その「窓」です。
 とても短い文章の中に、輝く星のように、あるいは言葉になることを拒むブラックホールのように、散りばめられた「キーワード」が潜んでいます。 そのキーワードを手がかりに、生徒の体験を想起し直していく作業が<語り>の意義であろうと仁は考えています。

 「すごいね」、「がんばったね」で終わることではなく、 その体験を足場に、<生きる力>を再発見し、新しい自己を創造していくプログラムを、生徒自らが構築していく道筋を、生徒と共に考えていく同伴者が求められています。 おそらくそれが教員の仕事なのでしょうけれど、 そして多くの実践が積み重ねられてきているのでしょうけれど、それが、目に見える形で広がりをもっているところまでは至っていないようです。
 この解放研でそんな実践の交流が実現できることを願っています。

 そして、この営みは、教員の「特権」なのかもしれませんが、逆に教員自身が
この営みを放棄したり、抑圧したりしている現実も多いようです。
 <教育>の営みは、ひとり教員の独占物でないことはまた明らかなことです。
 <教育>の基本が自己教育力にあることを考えれば、あらゆる<出会い>の中に、教育の営みがあります。

 生徒の中にある<自己教育力>の発見について紹介します。
 
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     <死なんでよかった>      by・明日香

 私というものは、両親が出会わなければ、私はいなかった。なのに、反抗しまくってた。
 死ねばよかとに、とか、死んでやる、とか思っていた。親がいないと、何もできん。自分が死んでも、何にもならん。まさかと思うけど、私が死んで親が笑うと、もっとくやしい。たんなるバカやん。
 死のうとか考えよった自分がおかしいと思う。

 今からは、精一杯、生きていきたい。楽しい人生に、自分でしたい。今、私の人生、親や姉弟たち、それと友達。あと、大切な人のおかげで、楽しい人生になっている。自分の道を作っている。
 死なんでよかった。
 死んどったら、あの時から先、今の楽しい人生過ごせんやった。

   http://www28.freeweb.ne.jp/school/ao-jin/nekko02.htm

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明日香さんは、一輪のマツバウンランとの出会いから、「本格的に」<自分探しの旅>に目覚めました。

   http://isweb28.infoseek.co.jp/school/ao-jin/014-01hitotubunomugi.htm

そして、好子さんの『箱の中の自分が叫んでいる』という投げかけがあり、明日香さんの自分自身との向き合いが始まりました。(・・・と仁は読みとっていきます)。明日香さんのノートに上記の短い<語り>が書かれていました。
 明日香さんが「心の窓」を用意してくれたのでした。
 この明日香さんの「心の窓」から、明日香さんの心に入り込んで、明日香さんと一緒に<根っこへの旅>を開始する企てを仁は考えていきます。

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   <このことを思い出すたびに左頬が痛くなる>   by・明子

 私は入試一日目が終わった日の夜、兄ちゃんに「お前絶対不合格やんけん、そげん気合い入れんでよかやん」っち言われた。自分でも中学校のときのコト考えると・・・やっぱ無理かなと思い、なぜかその夜は荒れまくった。部屋にある全ての物を破り、壊し、割り、すごく荒れていた。母が部屋に入ってきて、「あんた何ばしょっと!」って言われた。 「明日、もう行かんけん。どーせ受からんし、行っても一緒やし」って泣きながら訴えた。それを聞いた母は、私は思いきっり殴った。 「あんた、今まであげんしとったけど、少しずつ勉強しよったのは知っとるよ。それば捨てるとね。もーすこし頑張らんね。落ちてもよかやんね」っち言った。初めて母の本音を知った。 今までは公立行かんやったら学校行かせん、って言われた。私はもちろんそっちがよかった。学校なんて縛り付けられるとこ行かない方がましやんと、ずっと思っていた。でも、母が「合格せんでもいいやんね」って言ったときには、母のために頑張ろうと思った。今でも思っている。ありがとうとマ
ジで思えた。入試は少し違った思い出になった。
 このことを思い出すたびに、左頬が痛くなる。
 けど、この痛みで母の大きさを思い出せる。まじで Thank you ! 合格発表の日、不合格を確かめに行った。母もそのつもりだった。みんな合格したらしいよ。そんな中、私だけ・・・と思いつつ見たら、あった! 帰りの車の中で、私も母も泣いた。ばあちゃんも泣いた。 みんな、私のこと心配してくれていると初めて知ることができた。

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 なんか、ジーンとくるね。嬉しくって、仁も泣いてしまったよ。忘れられない話だ。
今、出張先の会議中にこの通信書いているんだけど、こんな生徒がいるんだよ、ってみんなに紹介してしまった。

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 明日香さんが<明日香>になることを拒否するという事態が起こって、明日香さんは「重い荷物」を背負い込んでしまったのですが、上記のレポートを提出してくれました。

 「明日香、改名、明子」としてお読み下さい。
 明日香さんは一輪のマツバウンランとの出会いを通して、すごいと仁は思ったのですが、<愛>について考え始めました。それを資料に、みんなに『一粒の麦』というテーマで中間考査の小論文を書いて貰うことになります。 明日香さんの<気づき>が生徒たちに大きな学びの材料になったことは勿論のことでした。

 『このことを思い出すたびに左頬が痛くなる』は、明らかに明子さんの自立の立脚点になるはずのものであろうと仁は考えています。 そして、その背後にある明子さんの「荒れた日々」という深い海があります。 この「荒れた日々」を明子さんが<語り>として表現できる地平まで<根っこへの旅>を続けていきたいと仁は願っています。
 明子さんは、みんなへの新しい提起をしました。

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         <理想>         by・明子

 理想は高い。
 けど、それをつかむために登り続ける人になりたい。大きな理想を持ち、振り落とされても登っていける人になりたい。 しっかりと力を入れて登るように、足に力を入れ、しっかり踏ん張れる人になりたい。 どこからでも登れるような人になりたい。 自分を隠さず、自分らしい自分になりたい。

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 5月29日の明子さんのノートに書かれていました。明子さんのこの短い文章が仁には輝いて見えました。これを明子さんの<宣言>と理解したのでした。<どこからでも登れる人>という言葉が、明子さんの<本気>を伝える響きをもっています。
  http://isweb28.infoseek.co.jp/school/ao-jin/nekko09.htm

 上記に、明子さんの<愛>についての思考過程と問題提起が展開されます。
 これを生徒たちがどこまで受け止め、自分の生き方として把握できるか、について考えていくため、これを「指定レポート」にしました。 様々なレポートが提出されています。仁はそれを読むことだけで時間がなくなってしまうほどです。けれど、このレポートを生徒に『通信』で返しながら明子さんの<愛>についての思考を発展させ、深化させていきたいと願っています。その発展過程は、きっと「荒れた日々」の<語り>につながるものであり、その<語り>は同じ経験を持つ生徒たちにつながり、そして、自立としての『このことを思い出すたびに左頬が痛む』が根源的な輝きを放つものになっていくでしょう・・・。
 それは、勿論、明子さん一人の<根っこへの旅>ではありません。 明子さんと同じ道に立って、多くの生徒たちが<語り>を出していき、相互浸透しながら熱量を持った磁場を創造していることを意味しています。

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         <宝物>       by・宝子

           自分の中に光っているもの
             それが私の宝物
        まだ見つけだせない宝物はたくさんある
   自分の良いところ 悪いところも 全部自分にしかない宝物

           これから探そう いろんな自分
         これから見つけよう たくさんの宝物

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 宝子さんの、この詩は、<根っこへの旅>への意志と意味を開示しています。生徒たちの中に<セルフエスティーム>が根づき始めたことを物語っています。<セルフエスティーム>は<夢見る力>の復権であり、子どもたちが本来持っている<星の子>、<光の子>としての<生きる力>の創造行為なのです。

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 <語り>の土壌があって、生徒達の中に<学び>の作風が醸成される中で出身生徒の<部落民宣言>が熱い心をもって受け容れられ、<生きる力>としての<出会い>が成り立つのではないでしょうか。
 あなたとの出会いが、子どもたちの<自己教育力>をエンパワーメントするものであることを、ひたすら仁は信じています。
 あなたのメッセージを、どうぞ、子どもたちに送信してください。
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 希望を!

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