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「私たちの名はかたらせない!」・・・【転載】

 アメリカ国内から湧き上がる力強い訴えに希望の光が見えます。
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 独善的なブッシュ政権下でアメリカ国民はどういう思いでいるのでしょうか。こんなときでも勇気をもって平和を訴えている人々は少なくありません。2002年9月に19日にそうした市民を中心に4000人以上の人が署名して、国民の信任を得ていないブッシュ政権に断固反対する宣言文Not in Our Nameをニューヨークタイムズに掲載し、このタイトルがイラク攻撃反対のスローガンにもなりました。賛同していても職場の圧力などで公にできない人も多い中、少なくとも66,000名が署名しています。日本でも雑誌『世界』で紹介され平和運動家などには知られていますが、大手メディアに取り上げられないため、その盛り上がりが伝わりません。主旨は変わりませんが宣言文の新しいバージョンが出たので、ご紹介します。今年1月23日ニューヨークタイムズ、2月3日サンフランシスコクロニクル、2月15日ロサンジェルスタイムズに掲載されたもので、すでに13,000人が署名し、他の新聞にも広がっています。日本からも連帯のメッセージを送りたいものです。         
         (川井孝子/TUP翻訳メンバー)
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 私たちの名はかたらせない!

 ジョージ・ブッシュが二期目に就任したが、戦争と強欲と不寛容のこの恥ずべき戴冠式を、アメリカ国民が文句も言わず黙認したとは言わすまい。ブッシュは私たちの声を代弁していない。私たちの信任を得てはいない。私たちの名にもとに行動してはいないのだ。

 公正な選挙であれ不正な選挙であれ、外国に対する犯罪的な戦争や拷問、大規模な人権侵害、科学と道理の終焉を、正当化できはしない。

 私たちの名のもとに、ブッシュ政権は、偽りの口実をもうけてイラクに対する侵攻と占領を正当化し、破壊と恐怖と苦難をあびせかけ、100,000人以上のイラク人を死に追いやった。「民主的選挙」の名目で町々を破壊し尽くすためにアメリカの若者を送り出す一方、国内では、数千人ものアフリカ系アメリカ人をはじめとする住民を脅し投票権を奪った。

 私たちの名のもとに、ブッシュ政権は、国際法と国際世論を鼻であしらっている。世界各国で拷問と、裁判なしの拘留を行うだけでなく、国内ではプライバシーの権利と言論・集会の自由に対するあらたな攻撃を提案している。アラブ人、イスラム教徒、南アジア各国の人々の権利を剥奪し、法律相談も受けさせず、犯罪者扱いし、正当な理由もなく拘束する。数千人が強制的に国外退去させられた。

 シリア、イラン、北朝鮮への侵攻、あるいは国連からの脱退や新たな「終身強制収容」政策が取り沙汰されるなか、絶対的世界支配のもくろみに立ちはだかるとされる国や個人に対し、私たちの名のもとに犯罪がさらに重ねられることを、私たちは許さない。

 政教分離、法手続き、無罪推定、言論の自由、人身保護その他の、基本原則がかくもやすやすと葬り去られるなどと、数年前には想像することができただろうか?いまやだれでもが、実効性のある救済策や第三者機関のチェックもなしに、行政府に権力を集中する大統領によって「敵側戦闘員」のレッテルを貼られ得る。ブッシュが誰を司法長官に指名したかによって、グァンタナモ、アフガニスタン、アブグレ
イブの捕虜収容所での拷問も法的に思いのままだ。

 ブッシュ政権は、狭義の排他的キリスト教原理主義とその政治形態を政府の政策として国民に押し付けようとしている。もはやこの過激集団は、容赦なく、女性の生殖に関する権利を奪い、同性愛者に対する憎しみをかきたて、スピリチュアルな経験には科学的真実さえ入り込む余地を残さない。私たちは、考える権利を過激派の手に引き渡したりはしない。エイズは神から与えられた罰ではない。地球温暖化の危険は本当に迫っている。進化は実際に起こったのだ。すべての人は形態を問わずみずから選んだ宗教的・霊的信条に意味を求める自由を保証されなければならない。とはいえ、宗教が強制されることは決してあってはならない。キリスト教過激派が思い通りの現実を求めるのは自由だが、それを強制されるのはごめんだ。

 私たち何百万の同士は結集して、話し合い、行進し、選挙を監視し、寄付をし、投票し、先の選挙でブッシュを負かすため、ありとあらゆる手を打った。この空前の取組みにより、正義のために闘うエネルギーと組織とコミットメントがもたらされた。ブッシュの再選を阻止できなかったからといって絶望に陥り活動をやめてしまうのは大きな誤りだ。それどころか、より公正で自由な平和な世界を求めてこれだけ広範に集まった人々の歩を進めなければならない。2008年まで待つことはできない。待ちはしない。二期目のブッシュ政権に対する闘いを、いま始めるのだ。

 ベトナム反戦運動が大統領選挙に影響を及ぼすことはなかった。しかし、この運動
は、軍用列車を止め、徴兵検査場を閉鎖させた。デモ行進をし、家々を訪問をして話をした。そしてそれが、戦争を止める力となった。公民権運動のリーダーが大統領候補になることはなかった。しかし、シットインやフリーダムライド(訳注:人種差別反対の示威活動として、公民権運動化が組織的に米国南部の諸州を公共交通機関を用いて巡回すること)を行い、裁判闘争をし、何度も刑務所に入った。そして最後には、一国の顔を変えたのだ。

 ブッシュ政権の「現実」が人間性にとっての悪夢でしかないことを、頭でも心でも
理解している何百何千万人という人々を動員し、私たちはこの国の政治の現実を変えなければならない。それには、創造性と大衆行動、一人ひとりが勇気を示すことが必要だ。力を合わせられるときは皆で、それができないときはひとりでも、行動しなければならない。

 この不道徳な戦争を戦うことを拒否した兵士たちが私たちの手本になる。私たちの文献リストの引渡しを拒んだ司書たち、進化についての授業を要求した高校生たち、米軍による拷問を明るみに出した人たち、イラク戦争に対する国際的反対を唱えた大規模な抗議行動に、喝采を贈る。並々ならぬ力を見せる普通の人々の行動を支持する。勇気ある抵抗の後押しをするコミュニティ作りを約束する。自らの将来をつくる権利を勝ち取る闘いを日々進めている世界中の人々と、私たちはともにある。

 私たちには、破滅への道を突き進むブッシュ政権を押しとどめる責任がある。いま
断固として行動しなければ、歴史に大きな禍根を残すことになる。


主な署名者

Edward Asner エドワード・アズナー(俳優)
Russell Banks ラッセル・バンクス(作家)
Amiri Baraka アミリ・バラカ(詩人・劇作家)
Phyllis Bennis フィリス・ベニス(中東研究者)
1220 Michael Berg マイケル・バーグ(イラクで殺害されたニコラス・バーグの父親)
Terry Bisson テリー・ビッスン(作家)
William Blum, author, US foreign policy ウィリアム・ブルム(著作家、元米国国務省)
Julia Butterfly ジュリア・バタフライ(サークルオブライフ財団、環境活動家)
Noam Chomsky, MIT ノーム・チョムスキー(マサチューセッツ工科大学教授)
Ramsey Clark, former U.S. Attorney-General ラムゼー・クラーク(元米国司法長官)
Peter Coyote ピーター・コヨーテ(俳優)
John Cusack ジョン・キューザック(俳優)
Michael Franti マイケル・フランティ (ミュージシャン)
Jim Jarmusch, filmmaker ジム・シャームッシュ (映画監督)
Rickie Lee Jones リッキー・リー・ジョーンズ (ミュージシャン)
Barbara Kingsolver バーバラ・キングソルバー(小説家)
Phil Lesh, Grateful Dead フィル・レッシュ(ミュージシャン)
Walter Mosley ウォルター・モズレイ(推理作家)
Odetta オデッタ(フォークシンガー)
Alice Walker アリス・ウォーカー(作家)
Immanuel Wallerstein イマニュエル・ウォーラーステイン(ビンガムトン大学フェルナン・ブローデル・センター所長)
Cornel West コーネル・ウェスト(哲学者)
Saul Williams ソウル・ウィリアムズ (アーティスト)
Howard Zinn, historian ハワード・ジン(歴史家)

その他多数(訳注:上記は日本で知られていると思われる人のみをピックアップした。)

(翻訳 川井孝子/TUP)

 http://www.nion.us./NSOC/NION2wsigninfo.htm


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BLOG 『私たちの名は語らせない!』 BLOG 『目覚めよ!』
目覚めよ!   チャルマーズ・ジョンソン

 ☆ひるがえって、わたしたち日本国民は……★

 チャルマーズ・ジョンソン氏は、前稿(TUP速報485号「米中の狭間で日本は……」)において、中国の新興経済大国としての台頭と日米を絡めた国際関係を論じましたが、本稿では、論点を新しい国際環境におけるアメリカの政策に絞り、ブッシュ政権のこれまでの財務・外交などの姿勢を痛烈に批判し、変革への道筋を指し示します。
 ひるがえって、わたしたちの国、日本の対外関係、とりわけ東アジアにおける位置を見つめると、北朝鮮との関係改善が一向に進展しないばかりか、韓国、中国でも反日気運の盛り上がりを目撃するありさまになっています。わたしたち日本国民としても、この危機にあって、外交相手国の粗探しをするのではなく、対中東・アジア政策における対米追随一辺倒や政治家の言動とメディアなどに見え隠れする先進国意識など、自国の姿勢こそを問うべきでしょう。
/TUP 井上 凡例: (原注)[訳注]
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 目覚めよ!
 Wake Up!
――チャルマーズ・ジョンソン
ツルースアウト 2005年3月31日
(初出: イン・ジーズ・タイムス)

 憂慮すべきワシントンの対外政策
 Washington's alarming foreign policy.

ルビコン川は、イタリア北部、ラヴェンナ市街のすぐ南の小さな流れだ。この川は、紀元前最後の2世紀ほどつづいた共和政体ローマ全盛のころ、イタリア心臓部とローマ市街とをローマ帝国軍そのものから守る境界線になっていた。古代ローマ法制では、常備軍を率いてルビコン川を渡り、イタリアに進入する将軍はすべて反逆者とされていた。紀元前49年、ユリウス・カエサル[ジュリアス・シーザー]、つまりローマ一番の切れ者にして、やり手の将軍は、配下の軍と共にルビコン川のほとりにとどまり、みずからの行動をじっくり考えたすえ、南部へと侵攻した。共和政体は内戦のうちに瓦解(がかい)し、カエサルは独裁者になり、ついで紀元前44年、元老院内で、われこそは共和制を圧政から解放すると自認する政治家たちの手にかかり暗殺された。ところが、カエサルの死がさらなる内戦を誘発し、紀元前27年になって、カエサルの甥の息子オクタヴィアヌスがアウグストゥス・カエサルの称号を名乗って、共和制を廃し、みずからを終身“皇帝”として軍事独裁体制を確立した結果、内戦はようやく終息をみた。このようにして、大いなるローマの民主主義実験は終息した。それ以後、「ルビコン川を渡る」という慣用句は、後戻りできない行動に打って出ることを意味する比喩表現になった。つまり、取り返しのつかない一歩を踏み出すことである。

2004年11月2日[ブッシュ再選]を期して、アメリカはルビコン川を渡ったと筆者は信じる。昨年の大統領選挙まで、アメリカの一般市民は、イラク侵略をも含め、自国の対外政策はジョージ・ブッシュがやっていることであり、自分たちは彼に投票したわけではないと言い訳することができた。2000年選挙では、ブッシュは一般投票で負けながら、最高裁によって大統領に指名された。2004年には、ブッシュはケリーに対し得票数で350万の差をつけた。その結果、ブッシュの戦争はアメリカの戦争になり、国際関係におけるブッシュのふるまいはわたしたち自身のおこなっていることになった。

このことは、今でもアメリカの対外政策の健全さや思慮分別を取り戻せるのかという問いを投げかけるので重要である。1970年代初めの恥ずべきウォーターゲート事件のころ、大統領の首席補佐官だったR・H・ハルデマンが、ホワイトハウスの顧問ジョン・ディーンに対し、ニクソンが命じた重犯罪行為について議会であけすけにしゃべりすぎると叱責した。「ジョン、歯磨きペーストがチューブから出ちまえば、元に戻すのは非常に難しい」と彼は言った。ウォーターゲート事件に関わったために18ヵ月の監獄生活を送る羽目になった広告会社の幹部あがりの男が口にした、この当然といえば当然の警句は、ジ
ョージ・W・ブッシュ再選後のアメリカの状況をきわめて正確に言い表している。

イン・ジーズ・タイムス創立編集者ジェームス・ウェインステインが筆者に問いかけた――「アメリカが世界でより建設的な役割を果たせるようになるために、どのように対外政策を変えるべきだろうか?」。この設問は相互に関連しながら異なっている三つの問題を投げかける。一番目のものを解いて、はじめて二番目に取り組むことができ、二番目のものを正して、はじめて三番目に取りかかる意味をなす。

 アメリカ丸を沈没させる
 Sinking the Ship of State

第一に、アメリカは切迫した破産の危機にあり、これが現実化すれば、対外政策をあれこれ論じても無意味になる。すべての財政危機の母[根源]が、これからの数ヵ月以内にわたしたちを破滅させ、アルゼンチン国民の北米版にしかねない。かつて彼らは南アメリカで最も裕福だったのだが。こうした事態を避けるために、わたしたちはわが国の巨額の貿易・財政赤字を制御下に置き、国家財政のイロハを理解し、わが国の膨れあがる借金に自殺的なほど無関心ではないと世界に気づいていただかなければならない。

第二に、わたしたちのとんでもない国際市民意識をなんとかしなければならない。わたしたちは、他の諸国がわが国との関係において互恵主義のよりどころとする確立した規範を恒常的に踏みにじっている。これは政策を改革するというよりも態度を正すという問題だ。これを怠れば、わが国のじっさいの対外政策に変更があっても、世界の国ぐにに気づかれることすらないだろう。筆者の心中には、米陸軍やCIAによる隠密裏の誘拐や拷問、イラクやアフガニスタンのような場所における、ろくな訓練も受けず、ろくに統率もされていない兵たちによる銃器による火遊び、それに中絶に関するわたしたちの妄想にもとづく他の文化に対するイデオロギー的な罵倒や、ブッシュ政権によるジョン・R・“ボンカーズ[衝突屋]”・ボルトンの米国代表国連大使指名に明確に示されている、国際法(特に国際刑事裁判所)を軽視するわたしたちの姿勢が去来する。

 第三に、もしもわたしたちがわが国の直面する財政危機および海外で粗野にふるまう傾向を克服できるなら、わたしたちの対外政策を改革できるかもしれない。当面する課題のなかに、世界の勢力バランスの緩慢で漸進的な変化があり、そのために新しい方法論が求められている。“単一”スーパーパワーとしてのわが国の余命がきわめて短いことを示す最も重大な兆しは、別の形態の影響力にわたしたちの巨大軍事力の独占が出し抜かれているという事実にある。変化の中核に中国の驚くべき成長があり、わたしたちがこの事態に順応する必要がある。

 それでは、これら三点をより深く掘り下げて論じてみよう。

 2004年におけるアメリカの輸出に対する輸入の超過分は、2003年に比べて24.4パーセント拡大し、6170億ドルという記録的な額になった。対中貿易における年間赤字幅は1620億ドルであり、単一の国に対するアメリカの貿易不均衡の規模としては過去最大である。同じく重要なことに、アメリカの国庫借入金が2005年3月9日時点で7兆7000億ドルの大台に乗ってなお増えつづけ、わが国は優に世界最大の純債務国になっている。アメリカは、みずからの浪費的な消費様式の対価と軍事費を自国民から徴集した税金で支払うのを拒みながら、日本、中国、台湾、韓国、香港、インドから借りまくって、これらの経費を賄っている。 アメリカは政府予算を捻出するために一日あたり少なくとも20億ドルの外資導入を必要としているので、この状況はますます不安定になっている。東アジア諸国の中央銀行が、自国をドル下落から守るために、外貨保有の相当部分をドルからユーロなど他の通貨に移す決定をくだせば、それがどのようなものであっても、アメリカ経済のメルトダウン[原子炉の炉心溶融にたとえる]を引き起こすだろう。韓国の中央銀行は約2000億ドルの準備金を保有しているが、2005年2月21日、「投資先通貨の多様化を図る」意向であると暗に公言した。ドル相場は急落し、アメリカ証券市場は(その後、持ちなおしたが)一日の下げ幅としては過去2年近くの間で最大の暴落を記録した。このささいなできごとが、わが国が綱渡りのような状況にあることを示している。

 日本は世界最大の外貨準備金を保有し、その額は2005年1月末時点で約8410億ドルに達している。そればかりか、中国もわが国に対する輸出超過で稼ぎ、現金6099億ドルの米ドルを積みあげている。ところがアメリカ政府は、思いつくかぎりの難癖をつけ、とりわけ中国の分離領土・台湾島をネタに中国を侮辱している。先日、著名な経済評論家ウィリアム・グレイダーは「銀行家を侮辱する浪費家の債務者は、穏やかに言っても、賢明ではない……アメリカの指導層は……文字どおりに――ますます思い違いするようになり、勢力関係の不均衡が自分側に不利な方に傾きつつあることに目を閉ざしている」と記した。

 これらの赤字や[対外]依存は、帝国を自負する国としては異常な経済統計値に表れている。19世紀において、大英帝国は膨大な経常収支剰余金を動かし、ボーア戦争のような惨澹たる帝国的冒険の挙にでても、その経済的影響を無視することができた。第一次世界大戦の直前、英国はGDP[国内総生産]の7パーセントに達する剰余金を保有していた。アメリカの現在の経常収支赤字はGDPの6パーセントに迫っている。

 わが国政府の正常さや政策の健全性に対する外国の信頼を回復するためには、いま直ぐに、ジョージ・W・ブッシュ大統領によるキャピタルゲイン[資本所得]や不動産を含む減税を差し止め(どっちみち金持ちはぬくぬく暮らしているので、気づきもしない)、わが国の軍事支出を抜本的に削減し、アグリビジネス[農業資本]や軍産複合体に対する助成を廃止しなければならない。ほんの数年前、アメリカは大幅な連邦財政黒字を享受し、公的債務の削減に取り組んでいた。わが国が財務支払能力を回復すれば、おそらくアジアの預金者たちはわたしたちの債務に資金を廻しつづけるだろう。わたしたちがそうしなければ、わが国に対する融資者たちはみな恐怖にかられて、ドルから逃げ出し、わが国の株式市場は破綻し、2年間にわたる世界同時不況を招来するという危険を冒すことになる――世界規模の景気後退という事態になっても、そのうち世界の他の国ぐには回復する。だが、その時までに、値打ちのあるものなどたいして生産できなくなるわが国はバナナ共和国[欄外]になっているだろう。わが国の対外政策に関する討論などは無意味になる。わたしたちは人様のお情けにすがるようになる。[一次産品の輸出や外資などへの依存度が高く、政治的に不安定な中南米など熱帯の小国]

 醜いアメリカ人
 Ugly Americans

 こうしているうちにも、ディック・チェイニーやドナルド・ラムズフェルドと彼らの一派、アメリカン・エンタープライズ国策研究会に巣くうネオコン狂信集団の無作法なふるまいがアメリカの対外政策の行状を決定づけている。アブ・グレイブ拷問スキャンダルのあと、拷問を許した行政機関の連中に対する調査を、これまで議会が始めることができていないのは、まったく承服できない。公機関による秘密の拷問について大統領のために主だって弁解した人物が、目下、司法長官であったり、ラムズフェルド国防長官が辞任しなかったり、軍による軍に対する7回目の調査(今回の統轄者はアルバート・チャーチ三世中将)はまたもや将官のすべてを免罪し、たまたまアブ・グレイブ監獄の独房棟で夜間勤務についていた運の悪い下士官兵たちのみに責任を押しつけたりしたことも同じく許しがたい。ウェスト・ポイント士官学校出身者で、陸軍士官として23年間就役した退役軍人アンドリュー・ベースヴィックは、著書"TheNew American Militarism"[『アメリカの新軍国主義』]において「アブ・グレイブの大失態は、解放者ではなく拷問者、プロフェッショナルではなく、安っぽいスリルを求めるサディストとしての米兵たちを見せつけた」と語る。これが正されなければ、大統領と国務長官が自由とデモクラシーなどと長広舌を振るっても、世界の人びとは単なる表看板として受け取るだけだ。

 対外政策の解説者たちは“信頼性”概念――ある国が信頼に値するかどうか――にひとかたならぬ関心を寄せる。信頼性を損なうには、いくつかの方法がある。ひとつには、ブッシュとディック・チェイニー副大統領がイラクに対する予防戦争の準備段階でおこなったように、諜報を政治的に利用することである。今となっては、CIAであれ他の何であれ、わが国の秘密情報機関が言うことを額面どおりに受け取るのは愚か者だけだ。すでに中国は北朝鮮に関するわが国の情報を信じないと通告しているし、ヨーロッパのわが同盟諸国もイランに関するわたしたちの終末論的な評価について同じことを言っている。

 諜報部と同じく、わが国の増長した軍部は真実でない発言をおこなっている。将軍や提督の輩たちが――従軍記章を左肩にずらっとぶらさげ――連邦議会の委員会でぬけぬけと嘘をついている場面は、全米ネット・ニュース番組の視聴者たちにお馴染みだ。

 例えば、1998年2月3日、米海兵隊パイロットたちが軍用ジェットのコックピットでぼんやりしていて、イタリア北部のスキー場リフトのケーブルを切断し、20名の人びとを墜落死させた。海兵隊は全力あげて責任逃れに終始したすえ、パイロットたちを軍法会議にかけるとして本国に連れ戻し、事件を事故として片づけ、無罪放免してしまった。イタリア国民はこの事態を忘れていないし、アメリカが同盟国をどのように扱ったのかも憶えている。2005年3月4日、アメリカ兵たちがバグダッド空港に向かう途中の民間車両を銃撃し、イタリア情報当局高官を殺害、誘拐者たちによって解放されたばかりの報
道記者ジュリアーナ・ズグレーナに傷を負わせた。米軍は、ただちに隠蔽工作を始め、車が高速走行していたとか、米兵たちは照明や威嚇射撃で警告したとか、イタリア側は事前に通行を告知していなかったなどと主張した。ズグレーナは米軍の言い分のすべての点に反論した。ホワイトハウスは事件を「ひどい事故」と言い表したが、どのように説明しようとも、ヨーロッパにおける最も緊密なわが同盟国が、アメリカと協力して、いい面の皮であるような仕打ちを性懲りもなくおこなってしまったのである。

 ブッシュ政権は、傲慢さとうぬぼれのゆえに、わたしたちの政府が無能であると世界に悟らせるようなことをしでかしたのだ。この政権は自国に不都合と思う条約をないがしろにしただけでなく、そのような条約をより有効にするための正常な外交活動をおこなうことを拒んだのである。かくして、政権の顔役たちは、地球の温暖化を防止するために二酸化炭素放出量の抑制をめざす1997年の京都議定書に、コストが高くつくという理由だけで、背を向けた。(アメリカはどの国にも抜きんでて大量の二酸化炭素を放出している) わが国の参加拒否にもかかわらず、民主主義を掲げる、すべてのアメリカの同盟諸国は条約遵守の努力をつづけた。2001年7月23日、ドイツのボンにおいて、先進諸国が厳守すべき二酸化炭素排出量削減幅に関する合意が成立し、達成できない場合、罰則が課せられることになり、その結果、現在までに180を超える国ぐにが支持する強制力を備えた条約になった。改訂された京都議定書は完全なものとはとても言えないが、それでも温室効果ガスの削減に向けた第一歩である。

 同じような例をあげれば、、2001年の8月から9月にかけて南アフリカのダーバンで「人種差別に関する国連会議」が開催されたが、アメリカとイスラエルが退場してしまった。イスラエルを民族優越主義として弾劾する字句を挿入すべきであるとしたシリアの要求は、会議に残った国ぐにによって最終的に票決で退けられた。会議の最終声明は、奴隷制度について「人間性に対する罪」として謝罪を表明してもいたが、それにしても奴隷所有諸国の賠償責任を明言したうえでのことではなかった。アメリカにおける奴隷の歴史をふりかえっても、会議の確定文書がアメリカの利害に配慮して調整された程度を考えても、わが国の代表たちが退場したのは、帝国の傲慢さ――“われわれ”は、この世界を動かすのに“君たち”を必要としないという鉄面皮なメッセージ――をまたもや見せつけたようだ。

 アメリカが諸国間の礼儀正しい対話の規範に立ち返るまで、他の国ぐには全力をつくして――穏便かつ非公式に――わたしたちを孤立させ、遠ざけると思われる。

 未来の改革
 Future Reforms

 なんらかの奇蹟でもおこって、わたしたちが財政の合理性、公正、外交上の礼節を回復し、わが国の政治に正しく位置づけることができるなら、わが国の対外政策の改革に目を向けることもできるだろう。わたしたちは、まず第一かつ最重要事として、イラクから撤退し、連邦議会に占有的な開戦権限があると定める米国憲法第一条第八節第11項[欄外]を二度と無視しないように議会に要求しなければならない。そのうえで、ぜがひでも変革を求められている死活的な分野は、イスラエル、輸入石油、中国、核兵器拡散に対するわが国の政策であると筆者は信じる。環境、ラテンアメリカとの関係に取り組むことも、もちろん等しく重要だろうが。[同条文=(連邦議会は次の権限を有する)戦争を宣言し、敵国船傘捕免許状を付与し、陸上および海上における捕獲に関する規則を設けること]

 たぶん最も破滅的なブッシュ政権の過ちは、イスラエルとパレスチナとの間に公正な和解を達成するために、わが国のすべての歴代政権が取り組んできた政策を放棄したことである。それだけでなく、ブッシュはアリエル・シャロンによるパレスチナ人に対する土地収用や民族浄化に肩入れした。その結果、アメリカはイスラム世界における信頼、影響力、信用をすべて失ってしまった。2004年7月にゾグビー国際調査がモロッコ、サウジアラビア、ヨルダン、レバノン、エジプト、アラブ首長国連邦のアラブ人3300人を対象に世論調査をおこなった。アメリカに「親近感」と「反感」のどちらを抱くかという設問で、「反感」を選んだ回答者は69から98パーセントまでに分布した。2000年時点の世界のイスラム人口は13億であり、世界人口の約22パーセントを占めていた。わが国の政策のために、わたしたちはイスラムの大多数を反米に追いやったのである。わたしたちはクリントン前大統領が先鞭をつけたイスラエル人とパレスチナ人とを取りもつ善意の仲介者の役割に今すぐ立ち返らなければならない。

 アメリカは、年間38億バレルの石油、一日あたりにすれば1060万バレルの石油を輸入している。これほどの輸入量は史上最高水準であり、とりわけペルシャ湾岸諸国からのものが増大しつつある。たった今、サウジアラビアが同国産の石油をわが国に販売する能力または意志に陰りが見えれば、それが経済破局に直結する。現時点で利用可能な自動車技術、それにトヨタやホンダの新型車に組みこまれている技術を採用するならば、ペルシャ湾石油への全面的な依存から脱却できるであろう。強制される前に実行すべきである。

 2004年における中国の国内総生産は年率9.5パーセントで成長し、この伸びかたは大国のなかでは最速を優に記録している。現在、中国のGDPは1.4兆ドルに達し、経済規模で世界第6位につけている。中国はまた発展途上世界にとって別格の貿易相手国になり、莫大な量の食料、原材料、機械類、コンピューターを吸い上げている。アメリカは、中国――世界最古でありながら途絶えることなく今に続く文明――の再登場、しかも今度は現代の超大国としての復活に適応できるのだろうか? それとも、中国の急浮上が、前世紀に繰り返したような世界大戦をまたもや再現するのだろうか? これこそが鋭く問われている。富める資本主義中国はアメリカにとって脅威ではなく、この国との協調こそが、太平洋におけるわが国の最善の軍事的安全保障になる。

 核兵器の拡散にまさるわが国に対する脅威はない。わたしたちは1970年の核拡散防止条約においては正しい政策を推進したし、この条約は188もの諸国による賛同を得て、歴史上施行されたなかで最も広範に支持された軍備管理協定になった。北朝鮮が脱退した2003年1月10日時点まで、インド、イスラエル、パキスタンだけが条約の枠外にいた。この条約のもと、核保有5か国(アメリカ、ロシア、中国、フランス、英国)は核軍縮の保証に同意し、他方の非核国は核兵器を開発または取得しないことに同意している。非核保有国の条約遵守を確実にするために、国際原子力機関(IAEA)に査察の権限が与えられている。ブッシュ政権は、イラク、イラン、北朝鮮に対する戦争を煽る一方で、インド、パキスタン、イスラエルの核兵器を容認したり、新型核兵器の開発を計画したりすることで、IAEAの権威を傷つけ、この国際条約を事実上の破綻を招いている。わが国の政策はこの確立された法規制にただちに立ち戻らなければならない。

 最後に、わたしたちになしうるアメリカの政策の最も重要な変革は、わが国の帝王的大統領制を解体し、わが国の政治における行政、立法、司法の三権均衡の回復を図ることであろう。国防総省とCIAの圧倒的で隠然たる支配権がわがデモクラシーの共和制構造を転覆し、国民を軍部による乗っ取りの現実的な脅威にさらしている。わが国の憲政構造の再興こそが、なににも増してわたしたちの平和と安全を守ることになるだろう。

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【筆者】チャルマーズ・ジョンソン
日本政策研究所(the Japan Policy Research Institute, カリフォルニア
州)代表として旺盛な執筆活動。一九六二〜九二年、カリフォルニア大学でア
ジア政治の研究・教育。「帝国シリーズ三部作」のうち既刊2著作――『アメ
リカ帝国への報復』(鈴木主税訳・集英社刊)、『アメリカ帝国の悲劇』 (村
上和久訳・文藝春秋刊)。 目下、シリーズ3冊目を執筆中。
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【原文】Wake Up!
By Chalmers Johnson
placed at Truthout, Thursday 31 March 2005
http://www.truthout.org/docs_2005/040205F.shtml
Originally posted at In These Times.
Copyright C 2005 Chalmers Johnson TUP配信許諾済み
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【翻訳】井上 利男 /TUP

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